デスクワーク
デスクワークについて
デスクワークと言う行為の基本的な身体の使い方は「身体を固定する」ということです。
腕を良く使うので腕を酷使する行為と思われがちですが腕よりも体幹部の方が負担が掛かります。
なぜなら腕を動かすためには腕の付け根である肩甲骨周辺ががっちり固まっていなければ末梢の方が自由に動かせなくなるからです。
ショベルカーの動きを想像して頂けると分かりやすいと思いますが、ショベルカーが重い土や材料を持てるのはその土台である車体そのものがどっしり地面についているからなのです。
人間の場合この土台に当たるのが首・肩周辺や腰になります。
ディスプレイの文字を見る為にはあまり身体は揺れない方が良いということは理解できると思います。
しかしどんな人間でも1mmも動かない人間はいません。 生きている人間は常に細かく揺れております。
なぜなら心臓が拍動しているからです。この細かい揺れからも「身体を固定」しなければいけませんので様々な筋肉が緊張してバランスを保とうとします。
当然身体はこり固まります。デスクワークは大変な重労働・肉体労働なのです。
デスクワークで多い障害
●首こり・肩こり
何と言っても多いのが肩こりでしょう。
筋肉にとって「こり」を作る最大の要因が同じ姿勢で固まることです。
パソコン作業では長い人で1日10時間以上ディスプレイに向き合っております。
その間ずっと頭を動かさないように固まっています。
ですのでデスクワーカーは肩こりにならない訳が無いのです。元来首肩の筋肉は持久力のある筋肉です。
ですから無理がきいてしまい気付いた頃にはどうしようもない状態になっていることが多いです。
私には患者さんにいつも説明する言葉があります。それは「デスクワーカーはアスリート」と言う言葉です。
なぜなら1日10時間近くも同じことを続けられるからです。
デスクワークは基本的に心肺機能には負担が掛からないので長時間同じことが出来るのですが筋肉的には非常にハードなことを行っているのです。
首こり・肩こりのケアなしでいられる人の方がおかしいのです。
●腰痛・腰痛症
肩こりの次に多いのが腰痛だと思います。
腰骨は5つの腰椎と言う骨が重なり合って出来ており、その間をクッション(椎間板)が守るという構造になっております。
その椎間板に掛かる圧力が起立している時より座っている時の方が高いというデータがでております。
更にディスプレイを見続ける間は上半身を固定してなくてはいけません。
上半身は前に倒れる構造になっておりますので前に倒れないように背中側の筋肉が緊張し続けます。
それを1日10時間ですから腰に相当な負担が掛かります。腰のケアも必要不可欠だと思います。
●眼精疲労
ずっとディスプレイを見続けているわけですからこれもまた疲労して当然です。
眼も常に細かく動いていますが文字を読むためにはその細かい揺れを制御して固定しなければなりません。
ですので当然眼球を固定する筋肉がこり固まります。眼を固定する筋肉には外眼筋(上直筋・下直筋・内直筋・外直筋・上斜筋・下斜筋)があります。
更にピントを調節するための毛様体筋と言う筋肉もあり眼も筋肉疲労を起こすのが分かると思います。
●テニス肘
パソコン作業なのにテニスかよ!?と思われる方もいらっしゃると思いますがこれは実際に起こります。
テニス肘と言うと誤解があるのですが正式な病名は「上腕骨外側上顆炎」と言う名前です。
難しい名前ですが平たく言うと肘の外側に痛みが起こる病気です。
なぜそんな所が痛むのかと言うと指を上にそらせる筋肉が肘の外側にくっついているのでパソコンのキーパンチの時や、
マウスのクリック動作がオーバーワークになると筋肉の付着部で炎症を起こすのです。これもデスクワーカーには宿命的な病気です。
デスクワークの姿勢
肩こりに良い姿勢
横から見た時に耳・肩関節・股関節が一直線になっています。
そのため頭の重みが背骨全体に掛かり、上半身の広範囲で負担を分散して行きます。
負担が偏らないため疲労感は出ますが痛みにはなりにくいです。
肩こりに悪い姿勢
誰の目にも明らかですが顔だけ前に出ています。
デスクワーカーの多くはこの姿勢になります。無意識に画面を近くで見ようとするのでこの姿勢になりやすいです。この姿勢ですと頭の重みが首の骨(頸椎)だけに掛かるので首肩周りの筋肉をこらせる原因となります。
デスクワークの場合、日頃の姿勢を意識しなければこりを取ってもすぐ元通りになります。
当院では鍼灸治療でこりを取り、ストレッチで上記の良い姿勢を作りやすいように身体のバランスを調整していきます。
効果が長く続くような施術を行っていきます。